ダイレクト
ブリッジ

●患者情報

30代女性

●主訴

右下の歯が抜けている場所が気になる

●治療期間

1回

●治療内容

セラミック80%の歯科用複合材料を用いて、歯の抜けた場所に元あった歯の形・大きさ・色を再現しました。

●治療結果

隣の歯を削ることなく抜けた歯の場所に元あった歯の形を再現できました。
審美的にも問題はなく、ご本人は大変満足されました。

●費用

120,000円（税込）

●保険適用かどうか

自由診療

●治療のポイントや特徴

入れ歯のように取り外しの必要がなく、ブリッジのように両隣の歯を削る必要もない、優れた治療方法です。

ダイレクトブリッジを作製するときは、完成物の精度を保つため、唾液が流れてこないようにしっかりと防湿します。
お口を開けっぱなしにしなくてはならないので、患者さんの協力が必要不可欠です。
お口を開けておく状態を楽に保持できるような器具を使います。

●リスク・副作用

飲食習慣にもよりますが、非常に長期間が経つと少しずつ変色してくることがあります。
個人差があり、数年経ってもほとんど差が分からないほど変化が少ない場合もあります。
一度の治療で終わる場合がほとんどですが、治療時間が長いため口を開けているのが疲れてしまうことがあります。

▶ダイレクトブリッジ②
▶ダイレクトブリッジ③

ダイレクトブリッジは、歯が1本抜歯となってしまった場合に、代わりの歯を入れる治療法の一つです。
通常のブリッジという治療法は両隣の歯を削って接着剤でかぶせものを固定する必要があります。
この時に両隣の歯を大幅に削る可能性があるため、場合によっては神経を取ることになり、歯の寿命が大幅に縮むというデメリットがあります。
そのため、両隣の歯にまだ神経が残っている場合は、非常にデメリットの大きい治療となるのがブリッジです。

ダイレクトブリッジは、この課題を克服し、セラミック80%含有の歯科用複合材料を直接歯に接着させて固定することにより、健康な歯を削らずに治療することを可能とした治療法です。
また、麻酔の必要もありません。

お口の中で直接ブリッジの形に造形するため基本的に治療は即日で完了しますが、必要であれば治療後も修正や補修ができます。
両隣の歯に接着させて固定するため、入れ歯のように取り外す必要もなく、インプラントのように骨に穴を開ける手術も必要ありません。

しかし、どのような歯でも対応できるわけではなく、適応される条件として次のようなケースが限られています。

●失った歯が一本だけであり両隣の歯が健在であること
●両隣の歯が天然の歯であること
●基本的には失った歯が前歯であること
●接着する歯が歯周病で揺れていないこと
●噛み合わせの力が強く加わらないこと

など

また、高い技術を要する治療法であるため、治療可能な医院も限定されます。

しかしながら、健康な歯を削らずに済み、入れ歯のように取り外しの必要もなく、インプラントのように大掛かりな手術も必要なく、審美的で、しかも比較的安価と、条件さえ満たせれば、非常に優れた治療法といえます。

●健康な歯を削らなくていい

一般的なブリッジは、ブリッジを支えるために失った歯の両隣の歯を大幅に削らなければいけません。
隣の歯の神経が残されていれば、この神経を取る可能性もあり、神経を取るとその歯の寿命が大幅に縮んでしまいます。
ダイレクトブリッジはこのように歯を削ったり神経を取ったりする必要がありません。

●自由診療のもののなかでも比較的安価

ダイレクトブリッジは、自由診療のブリッジや入れ歯、インプラントと比べると、比較的安価（おおよそ3〜4分の1程度）で作製することができます。

●見た目がキレイ

ダイレクトブリッジは、セラミック80%の歯科用複合材料でできているため、見た目が天然の歯に近くキレイに仕上がります。

●短期間で治療が終了する

基本的に1回の治療で終わります。
（場合により後日微調整が必要となります）

●他の治療の選択肢を残しておくことが可能

ダイレクトブリッジは、インプラントのように顎の骨に穴を開けて人工の歯根（インプラント体）を埋め込んだり、ブリッジのように歯を削ったりといった、いわゆる侵襲性がありません。
（侵襲性とは、外的要因によって生体内の恒常性を乱す可能性がある事象のこと）

このため、一度この方法で治した後で（たとえば、金銭的に余裕ができたから、などの理由で）、インプラントに切り替えるなどが可能ですので、他の選択肢を残しておけるというメリットがあります。

●治療を受けられる歯科医院が限られる

ダイレクトブリッジは、高い技術を要求される治療のため、治療を受けられる歯科医院が限られます。

●変色することがある

セラミックの比率が80%程度であり100%ではないため、経年劣化により少しずつ変色することがあります。
ただし、変色の程度は飲食の習慣などにもよるので、数年経ってもほとんど分からないほど変化が少ないこともあります。

●すべてのケースに対応しているわけではない

ダイレクトブリッジは、一本だけ抜歯になった場合が対象です。
二本以上並んで抜歯になった場合には、この治療はできません。
その他、歯の場所や歯周病の状態などいくつかの条件を満たす必要があり、歯を失った場合に常に選べる選択肢ではありません。

詳しい条件についてはこちらをご覧ください。

●破損することがある

セラミックの比率が80%程度ありますので、ある程度頑丈な材料でできてはいますが、非常に噛む力が強い、日常的な噛み癖があるなどの理由で、欠けたり割れたりすることがあります。
（欠けた程度であれば修理が可能です。
保証期間により3年間は無料、３年以降の簡単な修理や調整は1回5千～1万円、3年以降の作り直しは再度全額負担となります）

●固定力が低い

極めて接着力の高い歯科用複合材料で接着していますが、一般的なブリッジのように両隣の歯にかぶせて固定しているわけではないので、稀に外れることがあります。
（破損した場合と同様に修理が可能です。3年間の保証期間があります）

前歯（青色の部分）：　基本的に治療可能な部位。価格は一本150,000円

小臼歯（ピンク色の部分）：　場合によっては治療可能な部位。価格は一本190,000円

大臼歯（グレーの部分）：　適応外

前歯や小臼歯であっても、噛み合わせや隣の歯の状況などによりダイレクトブリッジでは治療できないことがあります。

通常のブリッジは、型取りをしてかぶせものを作ります（間接修復）が、ダイレクトブリッジは、歯科医師が直接お口の中で作る手法（直接修復）になります。
これは非常に繊細な作業となるため、歯科医師がいかに上手くできるかがとても大切です。
そしてどれだけ上手くできるかというのは、正直なところ、どれだけ時間をかけられるかというのが非常に大きいです。
イメージとしては字を書く場合と一緒です。
ものすごく急いで字を書いた場合と、時間をかけてゆっくり丁寧に字を書いた場合を比べると、書き上がった字は全く違うのではないでしょうか。
全く同じ人が、全く同じ字を、全く同じペンを使って書いても、大きな差ができるでしょう。
歯科治療も同じです。
ゆき歯科医院では、おおよそ2時間以上と非常に長い時間をかけて、丁寧に治療を行います。

歯科医師がどれだけ上手くできるかが厳しく問われる治療ですので、いうまでもなく歯科医師自身の技術が非常に大切です。
ゆき歯科医院では、セミナーなどに年間200万円以上を投資し、技術研鑽のために使う時間は業務時間内だけでも年間60時間以上です。
ダイレクトブリッジはダイレクトボンディング治療の一種ですが、このダイレクトボンディング治療については、治療法の第一人者として有名な田代浩史先生による60時間ハンズオンコースほか10以上のセミナーを受講し技術の研鑽に励んでいます。

時計職人がルーペをかけて作業しているのをご覧になったことはあるでしょうか。
実は精密な作業を行うためには「よく見える」ことが非常に大切です。
歯科用ルーペは普及率10%ほどであり導入している医院はまだわずかですが、ゆき歯科医院ではルーペの中でも特に高倍率でゆがみなく鮮明に見えるアドメテック社製エルゴTTLルーペ10.0倍を用いています。
また、このとき更に鮮明に見えるよう、マイクロテック社製バタフライ2ライトを使用し、暗い口腔内でも明るく明瞭な視界のもとで治療を行います。

▶普及率のエビデンス

時間、技術、道具と、精密な治療を行うために必要な要素はさまざまですが、「作業に集中できるかどうか」も非常に重要な要素です。
当院の場合、基本的には保険診療の場合でも歯科医師が診療するのは同時にお一人だけです。
しかしながら、「詰めものが取れた」「突然痛くなった」「入れ歯が壊れた」などいわゆる急患の方がいらっしゃる場合には、診療の合間を利用して同時に2人まで並行して診療させていただくことがあります。
また、そうでなくても、他の患者さんのレントゲン撮影などで途中に少しだけ席を外すこともあります。
しかし、ダイレクトブリッジのように自由診療で予約枠をおさえている場合には、同じ時間にそういった急患などの予定を入れることはありません。
院長とアシスタントが予約時間いっぱいまで100%あなたのために、完全に集中した状態で治療にあたります。

●飲食習慣にもよりますが、非常に長期間が経つと少しずつ変色してくることがあります。
個人差があり、数年経ってもほとんど差が分からないほど変化が少ない場合もあります。

●レジン過敏症の方は施術できません。

●一度の治療で終わる場合がほとんどですが、治療時間が長いため口を開けているのが疲れてしまうことがあります。
（お口を開けておく状態を楽に保持できるような器具も使います）

●セラミックや金属などと比べると強度に劣ります。